親子関係における社会規範と市場規範

行動経済学の本、ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」の4章で社会規範と市場規範のことが書かれていたのを読んだ。金額が示され金銭のやり取りで成り立つ市場規範。それが無い社会規範。

最悪な親子関係が最悪なのはそれが市場規範の中にあるからだと思った。子は突然強制的に親に雇われ、従わねばならず辞職することも出来ない。ほとんどの親は子の生命や社会生活を維持する為の費用を負担していることは明らかだ。例え最低限だとしても衣食住や教育はタダでは確保できない。

しかし親が子に現金を直接渡すのはお小遣いの域で少しばかりだ。金額が話題に登らないプレゼント(服や布団や食べ物)は社会規範になる。

つまり親が子の為の「費用を負担している」と親子共お互い意識しなければ社会規範の関係になる。

しかし親子関係における出費は実際あまりに多額で一方的だ。親が一切カネの話をしない家などあるだろうか?もししなくても子は学校などで私学と公立の学費の違いを知ることになるのではないか。

親子が市場規範に陥らず、社会規範的関係を保つのは非常に難しいのではないだろうか。

 

恋人や夫婦の片方が二人のための出費の多くを負担していることは多いだろう。これが社会規範に留まれるのはなぜかと考える。出費される方は、出費する方の人が自分を十分に愛していて見返りを求めずそうしてくれるのだと感じるからではないか。

それなら親子関係においても子が、親は義務ではなく愛によって自分に良くしてくれるのだと感じることができたなら、親も自分が愛によってそうしているのだと思えているなら、親子関係は社会規範に留まれるのではないか。それを続けられる親子はどれくらい居るのだろう。