流しの食器には数ミリほどの髭がいくつもへばりついている。吊棚のへりにも、調理スペースの食器にも、乾燥台の洗い終えた食器にも。

もし使ったそばから食器を洗い、すぐに拭いて片付けていればこうならない。髭つきの食器を嫌なのは私だから、私が対処すべきなのだ。または、私も働いてまともな洗面所がある部屋に引っ越すか。

しかしそれらはできない。だから苦痛を除くために死ぬか、叫びながら堪えるかだ。

生活力が無いくせに人並みに不快を感じる能だけは持っている。困る。